アイアムアヒーロー
- 作者: 花沢健吾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/08/28
- メディア: コミック
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以前からオススメのマンガとして推されていて気になっていた作品。ここ最近の「このマンガがすごい!」「BRUTUS」「ダ・ヴィンチ」で一気に目に触れ、気付いたら本屋で1〜4巻を手に。
最初に花沢健吾に触れたのは「モーニング」の巻末に連載されていた伊坂幸太郎の「モダンタイムス」の挿絵。その作品の世界観ともマッチした独特な画風が印象的だった。
この作品ではその画風が作品の特徴になっている。ゾンビが襲ってくるという描写が見開きの妙や構成とあいまってこれでもかというほどのリアリティを生んでいてかなり怖い。
この作品いくつかの特徴。
まず主人公がにえきらない。現実が壊れるという絶望郷的なマンガでは大抵主人公が奮起する、正義感を持って戦う、解決策を見つけようとするなどの展開が用意されているものなのに、この作品では何より主人公がだらしない。最初のゾンビ化した人々に対する危機感の無さ、銃を持っているのに関わらずその決断力の無さ。読んでいて苛立ちが湧いてくるくらいだが、それゆえにリアリティがある。
そして終わりが見えない。一体この先どう展開していくのか。4巻まででは、ひたすらゾンビから逃げ惑う。立ち向かう方法も見えてこないし、読んでいる方は何の情報も与えられていない。作者自身「先のことを決めないで書く」。全く予測不可能の世界観、だからこそ続きが気になる。早く先の展開を知りたい、読みたいというマンガの原点を感じさせられる作品。だって、このままだとゾンビが増えていって、いずれ逃げ切れなくなっておしまいだぞ?どうするのか花沢健吾。もうこっちが心配になってしまうくらい。
この作品何がすごいのか。それは世界の崩壊のさせ方の追求という気がする。一巻を丸々使って描かれた日常を2巻以降でとことん破壊する。容赦ない絵で人間をゾンビ化させ人を襲わせる。まさに手加減抜き。日常の破壊をここまで追求して描き切っているそのセンスと想像力がこの作品をすごさであり、花沢健吾のすごさという気がした。
5巻はもうすぐ発売。早く手にとりたい気分。