リンダリンダリンダ


リンダリンダリンダ [DVD]

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公開中の映画「マイ・バック・ページ」の山下敦弘監督の作品。文化祭に向けて練習する4人組のバンドの様子を淡々を追ったもの。


物語が一切ない。文化祭前の学生バンドの様子をノイズ(演出・物語)抜きで切り取った。そんな印象に近い。ドラマ的、映画的な文法が排除されている。


例えば、徹夜で練習していて気付かないうちに寝てしまって朝を迎えるシーン。起きて「うわーもう朝じゃんー。」の一つくらいあってもよさそうなものだけれど、そんなセリフすら排除されている。できる限り、ドラマ仕立てにせず、言うなればドキュメンタリーに近いくらい(もちろん、全くドラマ的な文法がないわけではないけれど)なタッチで映像を撮っている。


特別なこと(物語)がなくても普通の「日常」こそが素晴らしい。そんな意思を伝えたいような作品になってる。文化祭までの練習の過程。これが楽しそうに見える。そして、最後に見事練習の成果を発揮して歌いあげる。本当にどこにでもありそうな話。でも、だからこそ、そんな普遍的な日常こそが素晴らしいというメッセージが強く伝わる。



ただこの作品自体は成功しているけど。やはり「文化祭」というものはあくまでも「非日常」的。どこか祭りに向かうまでの過程(バンドの練習)も普通の日常とは少し違う。文化祭という非日常装置を用いなければロマンを描くことはできないのか。普遍的な「日常」を愛せる作品も見てみたい。