「EARTH/世界の終わり」


EARTH

EARTH


2010年に話題を呼んでいたというグループ。気になったいたので本日購入。思う所があったのでその感想を。

ぼくは、普段から邦楽ロックに対してアンテナを張っているような、いわゆるファンとしてのロック文化に属する人ではありません。なので、そうした文脈からこの作品についてあーだこーだということは言いません(言えません)、シンプルに作品単体に対する感想・雑感です。




楽曲はもちろん、やはり歌詞でしょうか。世界という大きなタームで語られる彼らの世界観は、人と人という枠組みの中で語られる言説に疑問符を投げかけてます。


社会の中に溢れる様々な言説。その中で「何が正しいのか?」と正しさを争う日常だけれども、そこに大きな視点が欠落している。「ちょっと待てよ」と問いかけています。それは、「生物」だったり「花」や「虫」という言葉で表現されているような素朴で自然なもの。


自分自身、今まさにその言説の海の中に身を放り投げている状態なので、その欠落した視点にふと考えさせられます。突っ込みがちなわが身を少し引き戻してくれるような。そんな音楽と歌詞であるように感じました。今の自分が聞いて感じて考えているタームには世界の終わりのような世界観が欠如しているんじゃないか。そんな思いを心の中に留めておくことができそうです。


よく考えたら、当たり前で自然な感性。でもこの社会を生きているとえてして忘れがちなもの。それに気付かせてもらえるような一枚だと思います。



さて、このアルバムに対する評価を探ってみた所、やはりというか少し恐れていたことが…。この詩に対して、「子供じみた発想」だとか「こういう曲を聞いて自分考えてますみたいに思うんだろ」というようなコメントとそれに対する反発のカスケードが起こっていたのです。世界平和というようなリリックを用いて歌うと、えてしてこうした論争が起こりがちであるように思います。特に、ロック文化に成熟している人ほど批判の声が大きいような気がします。


作品に対する態度はそれぞれで結構ですし、自分がそれにコメントしてもそのカスケードの中に回収されてしまうので何とも言えない所なのですが。一つだけ。



人の感想を自意識と絡めて中傷することはやめてほしい。


コメントの中には世界の終わりのような歌詞を聴いて、感想を持った人に対して「中2病」だというような文脈が多く散見されましたが。この作品を聴いて感じたり、考えたりする人たちに対して、そうした言葉を当てはめて嘲り嗤うことは不当です。感じたことを表現することに対して、「自分はこの曲を聴いて考えている」というような自意識として受け止め「病気」と嗤うことには違和感を覚えます。


もちろんこれは「中2病」というネットスラングに対する問題意識でもあるわけですが。そうした感性を嗤ってしまうと、では一体コンテンツに関する態度や表現はどのようにすれば良いのか。という疑問が生まれかねません。


コンテンツに関する批評は結構ですが、それを行う人に対して不当な言葉を使って嘲り嗤うことは良くないように思います。